PCOCCの製造を中止へ

 オーディオ用の高級銅線材としてお馴染みのPCOCC(Pure Cupper Ohno Continuous Casting Process)ですが、製造元の古河電工が今年の3月末までで受注を終了することを発表しました。記事はこちらです。

 通常の銅ケーブルは細かい結晶が多数連なって構成されていますが、PCOCCは1つの結晶を成長させて大きくするというもので、単結晶で大きな固まりを生成できることが特徴となります。ちなみに従来の鋳造法でもある程度は結晶を線形に成長させることは出来ますが、この場合にも単結晶とはなりません。この鋳造法は日立電線が手がけていて、一般的にLC-OFC(Linear Crystal Oxygen-Free Copper)と呼ばれます。

 かつてのオーディオ界ではPCOCCとLC-OFCとで人気は二分されていました。もっとも、個人的には金がないことやケーブルに金をかけるより本体に金をかけた方が音が良くなるという考えのもと、ごく普通のOFC程度のものを中心に使ってきましたが。ケーブルの音質は導線そのものよりも、むしろ被膜などの総合的な構造差によるものではないかと思いますし。

 個人的に心配なのは、PCOCCを全面的に採用し続けてきたオーディオテクニカの製品への影響です。特にMCカートリッジのコイルなどは、一時期ほぼ全てがPCOCCという状況でしたので。

 PCOCCの受注は3月末まで、製造は8月末まで、販売は12月末までということで、これに合わせて採用製品の製造も打ち切られる可能性が高いのではないかと思います。圧倒的なコストパフォーマンスを誇ったカートリッジ用のリード線、AT6101などは間違いなく製造中止となるでしょう。数本買っておいた方が良いかもしれません。

 オーディオ市場自体が壊滅的な状況であるだけに仕方ないとは思うのですが、日本企業が最先端を走っていた分野の一つであるだけに、勿体ないという印象です。

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コメント(2)

あぞっち :
そういえば、アクセサリー類は、ここ15年ぐらい購入していないような・・・オーディオ関係はますます廃れていきそうですね。
JIVE Author Profile Page:
私も製造中止に文句をつけられるほど買っていないというのが辛いところです。オーディオ自体も衰退していますが、高級アクセサリーの世界はまさにプラシーボを体現しているような品も多いだけに、売り方もより難しいのではないかと思います。

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このページは、JIVEが2013年3月 5日 18:43に書いたブログ記事です。

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