今時のオーディオ

 先日、ケーズデンキを歩いていると、展示品のミニコンポからケニー・Gの演奏らしき曲が聞こえてきました。ケニー・Gのサックスは音に特徴がありますから、いつもなら断定出来るのですが、らしきとしか言えないのはあまりに音質が悪かったからです。まるで昔のMIDI音源で鳴らしているような音色に感じたほどですから。

 そのときに使われていた展示品は、オンキョーのX-N7SXという機種だったと思いますが、丁度そのときにオンキョーの営業の方が私物のCDを鳴らしていたらしく、私が試聴ソースに反応したのを見ると声をかけてきました。

 感想を聞かれたので、割と正直に「音になっていない」という旨を答えたわけですが、そうすると次々と上位モデルに移って試聴ということになっていったわけです。まず先程のX-N7SXの上位機種であるX-N9SXを聴いたのですが、ほんの少しスピーカーのクオリティがマシになるという程度でそれほど大きな違いとは感じられません。

 一応販促している商品に否定的なコメントをしている以上、きちんと根拠を挙げて説明しましたので、私が求める水準のハードルが高いということで、コンパクトながら単品オーディオのセット商品となるINTEC 275の試聴ということになりました。

 このときに使った組み合わせは、A-933(アンプ)+C-733(CDプレイヤー)+D-412EX(スピーカー)という組み合わせで、8万円+6万円+12万円と、値段でいえばなかなか立派なシステムです。特にスピーカーなど、私がリファレンスとしているSANSUI SP-100i(55,000円x2)よりも高額なほどです。

 なるほど、確かにそれまでに聴いた機種とは明らかに次元が異なる音質になります。少なくともサックスはサックスに聞こえますし、ヴォーカル曲(やはり営業氏の私物であるHAYLEYのアルバム)もそれらしくは鳴ります。ミニコンポと単品オーディオの違いは十分に感じられるほどの差はあったでしょう。

 ただ、では自分に予算があれば納得してこの値段を払える音質かといえば、答えは明らかに「ノー」です。良いというのはあくまでミニコンポ比であって、少なくとも私には1本6万円のスピーカーを使っているシステムといわれて納得出来る水準のものではありませんでした。CDプレイヤーにしても、このモデルに6万円払うのであれば、Pioneer DV-610AV(実売価格1万円台後半)を買ってきて手を加えていった方がよっぽど良いような気もします。そもそも初期状態でも価格差ほどに質的な差があるとは到底思えませんでしたし。

 試聴結果の最大の収穫といえるのは、新品で20万円のオーディオセットを買ってもとても満足出来るものではないことが理解出来たという事でしょうか。中古で20万円かけられればかなりの音質のシステムが組めるのですが。

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コメント(16)

あぞっち :
やはり、オーディオ人口が減る→売り上げ減→開発・材料コスト大幅カット→しかも少量生産のため人件費の比率アップ→質の悪いものを高額で売らざるを得ない、って流れなのかな・・・
Anonymous :
SANSUI SP-100iか・・・。D-412EXとは気合の入れようが違うわな。
genki :
先日はありがとうございました
僕もオーディオ機器は昔の方がよかったと思います
僕は多摩音響のL-16Aの自作SPです
今度の放出に期待です
JIVE Author Profile Page:
'80年代末までの、あのオーディオブームのような各社がコストパフォーマンスを争うようなオーディオ業界になることは、もう二度と無いとは思います。そもそもあの当時のメーカーでも廃業や撤退、部門閉鎖が相次いでいて、ピュアオーディオメーカーは少量生産の高級メーカーばかりになってしまいましたし。

D-412EXとSP-100iを比較すること自体が野暮なのは十分承知していますが、かつてオンキョー自身が発売していたD-200シリーズ(1本2万円台半ば)でももう少し良かったことを考えると、まずはかつての自社製品を目標に頑張って欲しいところです。

今度の放出については、何故かPC-9821のノートPCが妙に見当たらなく、倉庫の方を探す予定なのですが、なにしろ体調が悪いまま(そのため外出も極端に減っています)で家捜しする気力はまだ無いのです…。

ウッド :
初めまして。 最近古いスピーカーを集めています、(お金も無い)
今度SP-100iを手に入れようかと思い検索していたら
この記事に当たりました、
>私がリファレンスとしているSANSUI SP-100i(55,000円x2)
私は音は聴いた事が有りません、昔オーディオ雑誌で見た事が
ある程度です、是非音の個性、使い方等詳しく教えて頂けないでしょうか
私が現在持っているスピーカーは、
SS-A5S NA-1 SX-500D2 です宜しくお願いします。
JIVE Author Profile Page:
私の場合、組み合わせているアンプが少々異端児といえるKENWOOD L-01Aなのであまり参考になるかはわかりませんが…。

お持ちのスピーカーから判断する限りは音場がふわりと広がる感じで、柔らかめの音をお好みなのではないかと思います。SP-100iはどちらかというとしなやかさよりも力感が強く出るタイプですが、アンプをはじめとする再生機器のキャラクターが色濃く表現されるタイプであるように感じます。オーディオ機器の比較試聴には向いていますが、このスピーカーならではという性格はあまり持っていないのかもしれません。

SX-500Spiritを使っている友人も、同じ曲を再生しても全く鳴り方が違うと言っていますので、今までと違った個性をお求めであるならなかなか良いかもしれません。少なくとも現在の水準ではこの音質を得るのに1本10万以内ではまず無理だというレベルには達していると思いますので。

ウッド :
遅くなりましたが、コメントありがとうございてました。 今週SP-100iを入手しました、コンディションもかなり良く
早速繋げて聞いてみました、JIVEさんの言われる力強さを
まず感じました、音は全体的に落ち着いた雰囲気で、
SX-500の艶やかさに比べ、聴き疲れのしない、空間を良く
再現するスピーカーと言う印象です、中低域の充実振りは
かなりのものです、しかしギターソロなど音像表現イマイチで
音楽を全体でまとめ上げてくれるタイプですね。
 少々ボリュームを上げたときは、非常にバランスがよくなり
ジャズトリオなどの、臨場感やスケールはさすがと感じました
ウーハーが重たいせいか、真空管アンプで聞くと低音が
ドローンとした感じでしまりがありません、デジタルアンプ
で聞くと、低音がダンプされたように締まります、
いずれにしろ、かなり楽しみなスピーカーです、買って良かった
JIVE Author Profile Page:
音像表現など、個々の特徴はアンプ次第ではないかと思います。というのも、私の家で友人が試聴すると「音像が恐ろしくシビア」だといいます。再生機器の特徴は良く引き出してくれますので、我が家ではリファレンス試聴システムとして使っているわけですが。

このスピーカーはそれほど大型ユニットではないのですが、アンプは電源が強力で駆動力に優れたものでないと真価を発揮しない傾向があるようです。
ウッド :
そのようですね、アンプも最近中古で集めています、アナログアンプはパイオニアのA-A6で駆動力は余りありません、デジタルアンプはオンキョーのA-1VLとフライングモールのDAD-M1
デジタルアンプは2台とも駆動力は最高です。
SP-100iですが、前オーナーは鳴らしていなかった様で
この3日で音がかなり変わってきました、ウーハーが動き
はじめた感じです、SX-500とは対照的ですが、良い音しますね
JIVE Author Profile Page:
私が使っている物量投入型の実験的モデルであるKENWOOD L-01Aでようやくある程度は実力を発揮させられているかな、と思うようになったぐらいですから、本来は強力な電源で重量30kgクラスというアンプが似合うのかもしれません。
一度SANSUI AU-α907シリーズ辺りでも使ってみたいと思っているのですが…。
ウッド :
JIVEさん こんばんは。 JIVEさんが言われるように、このスピーカーは簡単に鳴らせないようですね、それとまだ鳴らせてはいませんが、少しだけ100iの素晴らしさが分かったような気がします。古い録音のジャズなど力強く鳴りますね。NECのA-10などはいかがでしょうか。このスピーカーはかなり重たいのですが、セッティングでの変化が大きいのでしょうか。リアバスレフは難しいですね。
JIVE Author Profile Page:
A-10は私も使ったことがないのですが、恐らくあのクラスでは最強の駆動力を持つアンプだったのではないかと思います。初代は幻のモデルと化していて入手困難ですが、2代目以降は割合安価に入手できて良いかもしれませんね。ただ、初代に近づくにつれ力感が強くなる代わりにしなやかさや繊細さが劣り、後になるに従って徐々にバランスが整っているらしいです。
ウッド :
SP-100iですが、私には使いこなせないかも知れません
今使っているアンプでは、音が固まりのように、力強く
迫ってくる感じです、もう少し空間の再現が欲しい所です
スピーカーの個性なのか分かりませんが、アンプを考える
べきなのでしょうか。
JIVE Author Profile Page:
アンプやCD等のプレイヤーなど、弱点が強調されてしまうのがこのスピーカーの長所でもあり弱点でもあるわけです。
実は私がCDを聴くときには、本職のCDプレイヤーではなくPC用オーディオI/F、D.A.L CardDeluxeを使います。本職のCDプレイヤーに質の良いものが無く、弱点ばかりが目立ってしまうというのがその理由です。
アンプ、CD等のソース、セッティング等の要素が上手くバランスしたときに出てくる音質に魅力があるので、何とかそれを追求したくなってしまうのです。

#私の方もセッティングなどはまだまだ詰める余地はあるのですが。


ウッド :
最近パソコン事が良く分かりませんが、「PC用オーディオ
I/F、D.A.L 」とはプロ用のサウンドカードのことですか、
これはデジタルデータの時間軸の揺れ対して有効なので
しょうか、そんな次元の話ではないのかもしれませんね、
私も高価なものではありませんが、オリジナルのCDPでは
物足りず、3台とも改造品を所有しています、次は安価な
CDPにPure Rhythm 2 を取り付ける改造計画を考えて
います、資金が乏しいのでCDPは90年位の中古ですね。
JIVE Author Profile Page:
CardDeluxeとはサウンドカードというよりは、オーディオインターフェースと分類される製品です。主にスタジオ等のレコーディング機材として使われます。日本では代理店を通ると10万円近い製品ですが、直輸入であれば4万円程度で入手できます。
一般的にはオンキョーのサウンドカードを高音質という人が多いのですが、これはせいぜい20年以上前の10万円以下クラスと張り合うのがやっとでしょう。CardDeluxeであればその辺りとは歴然とした差が生まれます。
逆にその辺りのCDプレイヤーであれば、3万円程度の外付けDACを使ってやるだけでも十分グレードアップは可能ですが。

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このページは、JIVEが2009年11月17日 23:03に書いたブログ記事です。

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