SE-90PCI 試聴レポート
前回予告した通り、ONKYO製サウンドカード、SE-90PCIの試聴を行いましたので、早速その結果をまとめてみたいと思います。
比較対象はDigitalAudioLabs製オーディオインターフェース、CardDeluxe CDX-01です。試聴環境は以下の通りとなります。
・アンプ:ONKYO P-308(プリアンプ)+KENWOOD L-01A(パワーアンプとして利用)
・CDプレイヤー:Victor XL-Z621(比較用)
・スピーカー:SANSUI SP-100i
SE-90PCIとCardDeluxeは同一のPC上に装着しています。
試聴ソースは下記2つを中心に、他に数曲を部分的に再生してみました。
・Home Of The Brave / TOTO (The Seventh Oneの初期版CD)
・Stairway To Heaven / Led Zeppelin (The Song Remains The SameのLPから起こした16bit/44.1kHzデータ)
まずSE-90PCIの印象については、これまで使った新品標準価格1万円以下のサウンドカードとして、最良のアナログ出力性能だといって良いと思います。この価格帯でオーディオ的に評価に値するというのは立派なものですからね。
ただ、10万円クラスのCDプレイヤーを凌ぐという辺りの感想は大げさです。XL-Z621(20年前の7万円クラス)との比較では、確かに高域方向のクリアさでは勝っていると思いますが、それ以外に特筆するべき点は見当たりません。ヘッドフォンで聴けばもう少し好印象かもしれませんが。
そして今日の本題となるCardDeluxeとの比較試聴ですが...。SE-90PCIがCardDeluxeに勝っているという文章を書いた人間の耳を疑わざるを得ないというのが結論です。確かにSE-90PCIの、特に高域方向の表現は小綺麗で、あまり耳が良くない人が聴けば美しい音なのかもしれません。ただ、粗を含めてすべてを表現できているのは間違いなくCardDeluxeの方です。質感や微細な部分の表現など全く勝負にもなっていません。
低域方向の重量感や力感は言うに及ばず、ヴォーカルや楽器の質感においても全くレベルが違っています。「Stairway To Heaven」はライブ音源なのですが、本当に同じソースを鳴らしているのか疑わしいほどヴォーカルやギターの質が違っています。CardDeluxeの印象がステージ上での演奏だとすれば、SE-90PCIはステージ奥に用意した幕の後ろで演奏しているというぐらいの違いに感じられました。
強いていえば、手持ちのオーディオインターフェースの中では、M-AUDIO DELTA1010に近い傾向だとは思います。低域の重量感や緻密さなど、もちろん総合的にはDELTA1010の方が上ですが、妙に奥に下がってしまう定位や小綺麗に聴かせる傾向などは近いものを感じました。
結論としては、SE-90PCIは価格の割に良く出来ているのは事実。だがまともなCDプレイヤーを上回ったり、CardDeluxeを超えているなどということは一切無いということです。私ならメーカーから袖の下をもらってもそこまで絶賛は出来ません。
素人が自分の好きなソースを自分の環境で鳴らして、その感想で好き勝手いうのは全くかまわないと思うのですが、プロが本気でそこまで絶賛するとすれば、残念ながらその方の評価は何一つ当てにならないと私は断言します。
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